「木羽葺石置屋根(こばぶきいしおきやね)」の豪農の館「渡邊邸」。

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新潟県岩船郡関川村 国指定重要文化財渡邊邸正面
渡邊邸正面
豪農の館 渡辺邸のヤドリギと紅葉(H28.11.13撮影)
関川村 渡辺邸の紅葉とヤドリギ

関川村 渡辺邸の紅葉とヤドリギ
渡辺邸 正面側の宿り木
 関川村の紅葉は最盛期を迎えました。この日は暖かかった快晴の一日おお陰で、純白のなまこ壁と紅葉のコントラストが最高でした。
 渡辺邸正面横にヤドリギ(宿り木)を見つけました。
 北欧の神話で、ヤドリギには精霊が宿っているとされ、その下で男女がキスをすると幸福になれると言われているそうです。

関川村 渡辺邸の紅葉
   こちらの渡辺邸の紅葉もどうぞ
豪農の館 渡辺邸の冬(H22.1.11撮影)
関川村 渡辺邸 土蔵の冬景色
関川村 渡辺邸 土蔵の冬囲い
渡辺邸 土蔵群の冬囲い

関川村 渡辺邸 正面側
関川村 渡辺邸庭園
渡辺邸 正面側と庭園冬景色

 青空に誘われて、出かけた先は渡辺邸。
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 出迎えてくれたのは白壁の樹影と海鼠(なまこ)壁。
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 少雪で、土蔵の雪囲いも手持ち無沙汰。
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 雪景色に見とれながら母屋に足を踏み入れると、5年間続く”平成の大改修”が行われていました。
 丁寧な解説もお聞かせいただき、歴史の重みを感じた一時でした。
関川村 渡辺邸 平成の大改修関川村 渡辺邸 平成の大改修
新潟県岩船郡関川村の豪農の館 渡辺邸は国指定重要文化財
渡辺邸 大きな竈渡邊邸 庭園
渡邊邸 庇(ひさし)と縁側
渡辺邸 瓦葺きの土蔵
渡辺邸 ナマコ壁
渡邊邸 湯殿と雪隠
渡邊邸 内裏雛
渡邊邸 松たか子と壇ふみのNHK「蔵」
渡邊邸の巨大な梁(はり)
 渡辺邸は、寛文七年(1667年、年表はこちら)以来、この地で地主、廻船業や酒造業などで富をなし、財政難に苦しんでいた米沢藩に幕末まで融資をしていた渡辺家の二階建ての本宅です。類焼後の文化十四年(1817年)に再建されました。


 周囲の堀を含む敷地面積は、9193u(約2800坪)と広大で、巨大な母屋と土蔵群、庭園、板塀、環濠などによって渡辺邸が構成されています。


 渡辺家は幕末期に耕地約450町歩(1町歩は10反=10,000u)、山林2050町歩を有していた大地主でした。


 昭和七年(当主は第十代の三左衛門善郷)には、渡辺家が所有する耕地面積が406.2町歩でした。


 参考までに、昭和四年の「新潟県地価持名鑑、新潟 精華堂発行」によれば、渡辺が所有する地価の合計金額は120、530円で新潟県で第18位でした。


 渡辺邸の裏手や並びには、「歴史とみちの館」や佐藤邸、津野邸、東桂苑、関川村役場なども隣接しています。


 国から重要文化財に指定されているのは、母屋と6棟の土蔵(米蔵・味噌蔵・金蔵・宝蔵・新土蔵・裏土蔵)。

 中でも、母屋は、木羽葺石置屋根(こばぶきいしおきやね)という最近ではあまり目にすることがなくなった珍しい工法です。


 大風で屋根が吹き飛ばされないように1万5千個の石を載せています。瓦葺きなどに取って代わられた石置き屋根は、今では全国の文化財で散見される程度まで減少しました。

 道路を挟んだ関川村役場三階テラスから眺めると壮観だそうです。


 料金500円で母屋内部に入ると、目を引くのが土間の広さと太い梁や柱、大きなかまど。
 観光客の大きさと見比べて戴くとその大きさが推測できます。


 心字池を配した庭園は1275平方米。多用されている石材は、紀州や小豆島など関西方面の石が7割占めているそうです。


 6棟ある土蔵のうち、米土蔵が最も古く、天明3年(1783年、江戸中期)に建築されたものだそうです。


 江戸中期以降に城郭や武家屋敷を中心に使用され、やがて全国に広まったものです。元来、耐火性と耐湿性に優れており、また、意匠性にも優れていたため全国の土蔵などに用いられました。


 おひな様の上の写真はお客様専用の雪隠(せっちん)と湯殿(ゆどの)。腰壁は網代編み。庭園の庭木とうまくマッチしています。


 天保二年のものと思われる「内裏雛」も飾られていました。

 NHKの新潟を舞台とした時代劇「蔵」のロケに渡辺邸も使用されました。その時のリハーサル風景でしょうか?
 幼い頃失明した田之内 烈役の松たか子と烈(れつ)の叔母佐穂(さほ)役の壇ふみが写っていました。


 参考文献
「関川村、北越の豪農 渡辺家の歴史、平成四年」
佐藤邸・津野邸・東桂苑
関川村 佐藤邸     佐藤邸(非公開)

 明和2年(1765年)の建築。
 渡辺邸や津野邸とともに18世紀の町並みを形成しています。

 寄せ棟茅葺屋根が美しく、かつ、重厚な趣のお屋敷です。
 平成3年、国の重要文化財に指定されました。
渡邊邸に隣接する津野邸      津野邸(非公開)

 渡辺邸に隣接する県指定文化財の津野邸は、寛政元年(1789年)の建築。
 商家らしい軽快さと美しい寄せ棟茅葺屋根が特徴です。
東桂苑(とうけいえん)

東桂苑の起り(むくり)破風(はふ)
     東桂苑(とうけいえん)

 東桂苑は渡辺邸に隣接しており、その敷地面積は5,439.66u、建物延べ面積584.6uです。
 玄関屋根の曲線が美しい「起り(むくり)破風(はふ)」と火除けの願いを込めた「懸魚(げぎょ)」、「鬼瓦」が素晴らしく、一見の価値があります。

 起(むく)り破風は、文政年間に完成した旧西蒲原郡味方村(現在、新潟市)の笹川邸(旧村上藩の庄屋を務めた笹川氏の邸宅)や角館(現在、秋田県仙北市)の武家屋敷(石黒家)などにも見られる建築様式です。
東桂苑の紅葉
新潟県岩船郡関川村 高瀬温泉古川館「渡辺邸」
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